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蛇神様の花わずらい
第2章 巫女の一族
人の気配がなくなり、山の中の社に、美鎖は一人取り残された。

灯りは祭壇に立てられた蝋燭のみ。

フクロウの声が聞こえる。
暗闇に木々がざわめき、美鎖は身を震わせた。

「ううう、怖いよぅ……」

この年になったら巫女を務める決まりだった。
覚悟はしていたものの、やはり怖いものは怖い。

美鎖のために祖母たちが置いていったのは、暖を取るための火鉢と、布団一式と、酒樽だった。
祭の最中に口に出来るのはお神酒だけという決まりがあるので、美鎖は迎えがくるまで空腹とも戦わなければならない。
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