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蛇神様の花わずらい
第15章 赤い犬
ようやく穂波の足が止まる。

「穂波さ……」

振り返った穂波の顔には、表情が無かった。
いつも笑ったり、すねたり、賑やかな彼が、急に無表情になると、ゾクリと寒気がする。

「お、怒って、ます、か……?」

穂波の大きな目が、すぅっと細められる。

「美鎖、ちょっと黙ってて」

冷たい言い方に、美鎖の喉がヒクリと震えた。

穂波に嫌われた――。
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