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ストリート・キス
第1章 ストリート・キス
強く抱きしめた僕の手に、カーディガンと薄いブラウスの下の温かい体が感じられた。柔らかな唇の感触も。
いつまでそうやっていただろう。痺れていた僕の頭を現実がノックした。
…これは、この状況はまずいぞ。彼女は既婚者で、今僕たちが堂々と抱き合ってキスなんかしているのは、駅にほど近い路上なんだ。誰かに見られたら、というか僕らの横を通り過ぎていく人たちが増えてきた。すでに見られている。
「松木さん。もうやめましょう。見られてます」
キスを中断した僕が体を離そうとすると
「見られてもいいもん」
抱きついた腕を緩めてくれない彼女に途方に暮れてしまう。
「ねえ。キスしてよ」
「だめですって」
「なんで?」
…なんでってさあ。何を言っているんだろうこの人は。貴女は既婚者で子どももいて夫もいて、僕の同僚で仕事を教えてくれた大先輩なんですよ。それなのにこんな無防備な顔して、何をやっているんですか…なんて言えなかった。
求められるままに彼女をきつく抱きしめ、キスを交わす。道の真ん中で抱き合っている僕たち二人の横を、夜の街を行く人々が通り過ぎていく。
そして僕は、人妻に恋した愚か者になった。かわらしい、でも小悪魔な貴女の虜に…。
いつまでそうやっていただろう。痺れていた僕の頭を現実がノックした。
…これは、この状況はまずいぞ。彼女は既婚者で、今僕たちが堂々と抱き合ってキスなんかしているのは、駅にほど近い路上なんだ。誰かに見られたら、というか僕らの横を通り過ぎていく人たちが増えてきた。すでに見られている。
「松木さん。もうやめましょう。見られてます」
キスを中断した僕が体を離そうとすると
「見られてもいいもん」
抱きついた腕を緩めてくれない彼女に途方に暮れてしまう。
「ねえ。キスしてよ」
「だめですって」
「なんで?」
…なんでってさあ。何を言っているんだろうこの人は。貴女は既婚者で子どももいて夫もいて、僕の同僚で仕事を教えてくれた大先輩なんですよ。それなのにこんな無防備な顔して、何をやっているんですか…なんて言えなかった。
求められるままに彼女をきつく抱きしめ、キスを交わす。道の真ん中で抱き合っている僕たち二人の横を、夜の街を行く人々が通り過ぎていく。
そして僕は、人妻に恋した愚か者になった。かわらしい、でも小悪魔な貴女の虜に…。