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プレイボーイの憂鬱
第3章 古いピアス
「いい加減に逃げるのやめたら?」

高校時代からの友人のさくらちゃんが腰に手を当てて
仁王立ちで私の前に立った。

「加奈さ。吉岡先輩から逃げてこのまま自然消滅を狙ってるわけ?」

私とは正反対のさくらちゃんはものすごくはっきりしている。
そんなところが好きだけど
今回ばかりは、さくらちゃんの言うとおりには出来ない。

「さくらちゃん。逃げられるものならずっと逃げたいんだけど。」

あの日、吉岡先輩の部屋を出た私は、泣きながらさくらちゃんに電話をして
すぐにおいでという言葉に甘え
高校時代から何度も行ったことのある家に向かった。

電車の中でも涙は止まらなくて
さくらちゃんの心配そうな顔を見たら
さらに止まらなかった。

さくらちゃんは何も言わずに話を最後まで聞いてくれて
翌日から吉岡先輩を避け始めた私を責めもせず
手助けもせず、ただそばにいてくれた。




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