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続々ストリート・キス
第1章 続々ストリート・キス
 キリッとした表情で的確な指示をする大先輩で、国立大の法学部出身だけあってものすごく頭の回転が速い。語彙力も半端ない。だから僕は相変わらず頭が上がらない。たとえ僕が仕事をぜんぶ覚えて新人扱いから脱却できたとしても、どれほど努力したとしても彼女のレベルには到底及ばないだろう。それなのに…なんで彼女のような人が僕なんかと…。
 過去に付き合った女の子たちから「カッコいい」とか「すてき」とか、外見に関して褒められた経験が無い。身長は高くも低くもなく体型も普通。太ってもおらずマッチョでも痩せてもいない。学生の頃から何かに、たとえばスポーツとか、単一の事に打ち込んだ経験も無い。だからといって無気力な人間でもないし自分ではいわゆる草食系でもないと思っている。ごく普通のどこにでもいそうな23歳の男。それが僕だ。
 僕を好きになってくれた女の子たちへ、僕のどこをどんな風に好きなってくれたのかなんて聞いたことがないから、自分にどのような魅力があるのか不明だ。少なくとも九つも歳上の仕事ができる魅力的な女性(しかも人妻)から好かれるような魅力のある男じゃない…と思う。
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