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続続々ストリート・キス
第1章 続続々ストリート・キス
その日のコンサートの演目は…ヴァイオリン協奏曲だったけれど、いったい誰の作品だったのか忘れた。彼女と一緒に過ごせるなら何でも良かった。僕たちのシートの位置はホールの真ん中あたり。大きなコンサートホールの観客席がほぼ満席だ。
演奏が始まり、第一楽章の途中でアクシデントが起きた。ソリストのヴァイオリンの弦が切れたのだ。一本切れたら二本三本と立て続けに切れ始めた。盲目のそのソリストはアクシデントに気づいているのかいないのか?多分、気づいていたのだろう。切れた弦が無残に垂れ下がるヴァイオリンで演奏を続けている。せめて第一楽章は演奏を止めずに乗り切ろうというプロの意地だったのかもしれない。しかし弦が切れるたびに音色が明らかに落ちていく。他の観客も同じ気持ちだったと思うが、僕はハラハラしながら懸命に演奏を続けるヴァイオリニストを見ていた。すると僕の隣に座っている彼女が
「頭が痛い」
つぶやくでもなく周囲に聞こえる声でハッキリ言った。
「あのヴァイオリンの音、頭痛がするわ」
確かに音色は良くないが演奏は続いている。
「頭が痛いの」
「ええと…」
演奏が始まり、第一楽章の途中でアクシデントが起きた。ソリストのヴァイオリンの弦が切れたのだ。一本切れたら二本三本と立て続けに切れ始めた。盲目のそのソリストはアクシデントに気づいているのかいないのか?多分、気づいていたのだろう。切れた弦が無残に垂れ下がるヴァイオリンで演奏を続けている。せめて第一楽章は演奏を止めずに乗り切ろうというプロの意地だったのかもしれない。しかし弦が切れるたびに音色が明らかに落ちていく。他の観客も同じ気持ちだったと思うが、僕はハラハラしながら懸命に演奏を続けるヴァイオリニストを見ていた。すると僕の隣に座っている彼女が
「頭が痛い」
つぶやくでもなく周囲に聞こえる声でハッキリ言った。
「あのヴァイオリンの音、頭痛がするわ」
確かに音色は良くないが演奏は続いている。
「頭が痛いの」
「ええと…」