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ビッチ女のクリスマス…
第1章 12月23、24、25日の三日間…
 13

 12月24日日曜日…

 わたしがアシスタントしているチームはなかなかいいゲームをし、昨日は3戦全勝…
 あと1勝で、決勝リーグに上がれる、まあまあの成績だ。

 わたしはアシスタントコーチだから、基本ベンチメンバーのサポートなのだが楽勝ペースなゲームで…
 ふと、体育館内の二階の客席を眺める。

 え…

 あっ…

 なんと、反対側の二階席の奥に…

 和哉くん、ビッケが座っていたのだ。

 そしてかなり距離があるのだが、二階席とベンチのわたしとの間で視線が合い…
 小さく手を振ってきた。

 
 わたし達が住んでいる場所とこの東京都内は、在来線でも約1時間少しの距離だから気楽に来れるのだが…

 そしてゲームが終わり、インターバルの時間…

「なぜここにキミがいるのかなぁ?」
 わたしはビッケの後ろの席に座り、話し掛ける。

「あっ、いや、つい…」

「あっ、後ろ向かないでっ…
 子供達に分かっちゃうからさ」

「あ、はい、すんません…
 昨夜LINEで貰ったクリスマスツリーの写真を見たら、ガマンできずに来ちゃいましたぁ…」
 と、わたしはビッケの後ろの席から下のコートを眺めるフリをしながら話をする。

「あら…あの写真が、やぶ蛇になっちゃったのね?」

「え、やぶ蛇って?」

「ほら、キミを刺激してしまったってことよ」

「あ、あぁ、ま、まぁそうっすかね」

「ふぅん、で、どうするの?」

「あ、いや、久しぶりに懐かしいあの…
 美紀谷悠里先生の姿を見たかなぁって…」
 そうビッケは、約10年前のわたしの高校バスケットボール指導者時代の姿を知っていた。

「もうそんな冗談はいいから…
 でも、せっかく来たけど相手出来ないよ…」

「は、はい分かってます、ついでに大学時代の友達に会うつもりっす」

「ふぅん、そうなんだぁ、大学時代のねぇ…」
 ビッケは大学は都内の私立と云っていた。

「あ、男っすよ」

「そ、こんなこと訊いてないし…」

 だけど、少しだけ気になった…

「でも今日はクリスマスイブなのに、男と二人なの?」

「あ、ま、いいかなって…」

「ふぅん…」

 だけど…

 だけど、ビッケがわざわざここに…

 都内のこの体育館に来た、いや、来てくれた…

 少し、いや、かなり内心は嬉しかった。

 決して顔には出さないけど…




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