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ビッチ女のクリスマス…
第1章 12月23、24、25日の三日間…
 16

「悠里さん、大好きっす」
 そう囁き、わたしを抱き寄せ、キスをしてくる。

 あぁ、ヤられてしまった…

 すっかりビッケにヤられてしまった…

 この熱いキスに…

 わたしの心とカラダも…

 震え、蕩け、昂ってしまう…

「あ…ん…か、かず…ぁ、び、ビッケ」

「ゆ、悠里さぁん…好きっす…」

 あぁ、わたしも…

 だけど言葉には出せない。

 だがしかし今夜は…

 二人の間の壁が…

 消えてしまった。

 いや、消してしまったのだ…

 あぁ、ずるい…

 こんな素敵な夜景を…

 このクリスマスイブの夜の煌めくロケーションを見せつけ、魅せられてしまったならば…
 溶けて、蕩ろけて、融けない女なんていやしない。

 そして…

 疼きが昂ぶり…

 抱かれたくなってきていた。

 生理はほぼ終わったみたい…だが…

 今夜はもう時間が無い…

「……ね、ねぇ、明日は仕事なんじゃないの?」

「あ、は、はい、仕事っす」

「じゃ、そろそろ…時間が…」
 そう、間もなく最終電車に間に合わなくなってしまう時刻であった。

「あ…く、ざ、残念だなぁ…」

 本当に残念そうであるが…

「でも、明日が…あるし…」

「え…あ、明日が…うん…」

「帰ったらちゃんと連絡するわよ」

「あ、はい、絶対っすよ」

「うん…絶対っす…連絡するっす…」
 と、わたしは後ろ髪が引かれる想いだが、敢えて明るくそう言う。

 もう、今は、二人の間の壁は…

 完全に消えていた。

「あ、そうだ、これ、クリスマスプレゼントっす…」

「え…」
 すると彼はダウンジャケットのポケットから水色の箱を手渡してくる。

「え、あ、これ…
 ティファニーじゃないの…」

「あ、はい」

「あ、ありがとう、開けてもいい?」
 ビッケは頷く。

「えー、これ…」

 フルハートのペンダントであった…

「こ、これ…こんな高いの…」

 そう、わたしが知る範囲では高い…

「いや、大したことないっす」

「えぇ、大したことあるよぉ…」

「さっき銀座で選んできたんす…」

「あ、ありがとう…」

 わたしは感激していた…

 そして…

 すっかり心を揺らされてしまっていた。



 ビッケのくせに…

 でも…

 大好きだ…




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