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ビッチ女のクリスマス…
第1章 12月23、24、25日の三日間…
 3

「あ、そ、そういえば…」
 和哉くん、いや、ビッケはわたしを腕枕に抱きながら訊いてきた。

「なに?」

「あ、あのぉ、そのぉ…」

「なに?」
 なんとなく、言いたい事は分かっていた。

「あのぉ、く、クリスマスイブは?」

 ほら、やっぱり…

「あ、うん、あのね…」

 23、24、25日の土、日、月曜日ってね、二泊三日の三日間に…
『クリスマスカップ』っていうカップ大会があってさ、東京遠征なのよね。

「あ…クリスマスカップ…」

「うん、そうなの…」

 そのクリスマスカップとは…
 わたしがアシスタントコーチングをしているU15クラブチームの冬の全国大会の各地区予選で惜しくも出場をのがしたベスト4位以内の関東地方の各数チームが集まって例年行っている大会である。

「あ、あれかぁ…
 僕の時代が第一回だったなぁ…」

「あら、そうなんだ」

「はい…」

「だから、23日から東京遠征なのよ」

「は、はい、そうなんだ…」
 するとビッケは暗く返事をしてくる。

 彼の気持ちは良く分かるし、嬉しいのだが…

「あ、でもね、どっちみち、クリスマスと生理がぶつかっちゃうし…」

「い、いや、生理とかじゃなくて…」

「え、なに?」
 
「い、いや、生理とかは関係なくて…
 あ、な、なんとなく生理なんじゃないかなぁ…とは、思っていましたけど…」

「え、だから、なに?」

 わたしは彼の言っている意味も、言おうとしている言葉も…
 なんとなく分かっていた。
 
「あ、いや、そ、そのぉ…
 一緒に…クリスマスを過ごしたいかなぁ…って」

 それはもちろん分かっていたし、分かっている…

「え、あ、うん、それはそれなりに嬉しいけどさぁ…」

「は、はい…」

「でも東京遠征だし…
 それに、何より生理になるし…
 だから、逢う意味も……」

 無くない?…

「え、あ、は、はぁ…」

 わたしは…

 わたしは、敢えて、そう言い切ったのだ…

「だってさぁ、わたしとキミとの関係はあくまで……セフレだし…
 それに…キミは…ビッケだし…」

 冷たい様だが…

 これでいいんだ…

「あ…は、はい、そ、それは…そう…なんす…けど…」

 心を鬼にして、ここで線を引いておくんだ…




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