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ビッチ女のクリスマス…
第1章 12月23、24、25日の三日間…
 8

 基本、わたしの部屋には誰かを招き入れるという設定が無かった…
 実際にこの部屋に来宅した事があるのも…
 母親と、友人であるバーの彩ちゃんの二人だけであった。

 そして和哉くん、いや、ビッケが三人目の来訪者なのだ。

 だからウチにはスリッパというモノが無い…
 
「さあ、こっちへ」
 二人並んでソファーに座る。

「ビッケ、キミにクリスマスプレゼントがあるのよ」
 と、わたしはそう言って無造作に、丁寧にラッピングされたプレゼントを手渡した。

「えっ、あっ、マジっすかぁ」

「うん、少しフライングだけと、マジっす」
 ビッケは本当に嬉しそうな声を上げてくる。

「うわぁ、な、なんすかぁ」

「うん…」

「あ、あの、開けても?」

「うん…」
 本当に嬉しそうだ。

 そしてラッピングを外していく…

「うっ、うわっ、な、なんなんすかぁ」
 悲鳴、いや、嬌声の叫びを上げる。

「ゆ、悠里さん、これ、や、ヤバいっすよ…
 こんな、あ、これ『タグホイヤー』
じゃないっすかぁ…」

 そう、そのクリスマスプレゼントは
『タグホイヤー フォーミュラーワン』
 という、腕時計である。

「や、ヤバいっすよ、こ、こんな高い時計…」
 ビッケは時計を見て絶句してしまう。

「え、そんなには高くないわよ」
 こうまで喜んでもらえると、わたし自身も嬉しい。

「今までのお礼とね…
 これからもよろしくね…の意味を込めてるから…
 そこまで高くは無いわよ…」

「あ、い、いや、高いっす、絶対に高いっすよぉ」
 だが、値段の問題ではないのである。

 本当にそんな感謝の想いと、愛情と…
 まずは、せめて、それに見あうだけの男になって欲しいという意味があるのだ。

「ゆ、悠里さん…」
 ビッケは感動した様な潤んだ目を向け、そして興奮に昂ぶった顔をしながらわたしの肩を抱いてくる。

「ぁ……」

 ま、キスだけならいいか…
 そう想い、カラダを預ける。

「ん…」
 唇が重なり、ゆっくりとビッケの舌先が、入ってきた。

 キスだけなら…

 キスだけよ…





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