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人質交換を託された女
第15章 命脈
足音が聞こえ、その男は私が閉じ込められているロッカーの前で止まった。自身の心音が聞こえてくるほど、私は胸が苦しくなり、背筋が凍りつく。

扉が開かれ、差し込んでくるライトの光で、私は目がくらんでしまう。

「ンン…」と私の抵抗の声虚しく、胸に巻かれた縄を掴まれ、私の体は狭いロッカーから引きずり出されていた。

「まだお前とはしてなかったからな…」
その声を聞いて、私の心に絶望感が襲う。それはリーダーの声だった。

全身の力が抜け、上体がロッカーの中に倒れ込んでいた。足首が縄で縛られ、太ももに括りつけられていては、歩くことも立ち上がることもできなかった。

そのまま男に上体を腹這いにさせられ、肩幅よりも僅かに広い空間に閉じ込められてしまう。両脚がロッカーの外に出ていることは、膝が床とロッカーとの段差に触れることで理解できていていた。前に進みたくとも、段差のせいで前に進めなかった。
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