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人質交換を託された女
第15章 命脈
耳鳴りのキィーン…という音の中、誰かが更衣室の扉を蹴破っていた。大きな銃声が近くでした。
バタンッ…と人が倒れる音がした。それが誰なのか確かめることができない内に、私の体は誰かにお腹を持たれ、肩に担ぎ上げられていた。目を開ければ、リーダーと思える男の体は床に倒れ、頭からは大量の黒い液体が流れ出していた。間違いなく即死の状態だった。
隊員の誰かがロッカーを「全部チェックしろ…」と指示を出していた。その間にも、遠くから銃声が何発も連続で聞こえていた。それは犯人グループが持っていた銃器とは明らかに違う、連続射撃音だった。
女子更衣室を急いで出され、隊員の一人が自動小銃を構え、事務スペースに向かう姿を見つめた。銃が発砲される際の鋭いフラッシュ光で、奥の事務スペースの様子が見えたり、見えなかったりしていた。田口さんの無事を祈った。
「ンン…ンン…ンン…!」
私は必死に体を担ぎ上げる隊員に、『一人味方がいる…』と伝えたかった。当然、私の言葉など聞いてくれなかった。
パンッ…と一発だけ、乾いた銃声が、破壊された裏口通用口を抜ける際に聞こえた。それ以降、銃声はしなかった。私は目を閉じて、その意味を理解した。きっと犯人の誰かが、突入部隊に追い詰められ、自ら死を選んだのだと。そして全てが終わったのだと。
バタンッ…と人が倒れる音がした。それが誰なのか確かめることができない内に、私の体は誰かにお腹を持たれ、肩に担ぎ上げられていた。目を開ければ、リーダーと思える男の体は床に倒れ、頭からは大量の黒い液体が流れ出していた。間違いなく即死の状態だった。
隊員の誰かがロッカーを「全部チェックしろ…」と指示を出していた。その間にも、遠くから銃声が何発も連続で聞こえていた。それは犯人グループが持っていた銃器とは明らかに違う、連続射撃音だった。
女子更衣室を急いで出され、隊員の一人が自動小銃を構え、事務スペースに向かう姿を見つめた。銃が発砲される際の鋭いフラッシュ光で、奥の事務スペースの様子が見えたり、見えなかったりしていた。田口さんの無事を祈った。
「ンン…ンン…ンン…!」
私は必死に体を担ぎ上げる隊員に、『一人味方がいる…』と伝えたかった。当然、私の言葉など聞いてくれなかった。
パンッ…と一発だけ、乾いた銃声が、破壊された裏口通用口を抜ける際に聞こえた。それ以降、銃声はしなかった。私は目を閉じて、その意味を理解した。きっと犯人の誰かが、突入部隊に追い詰められ、自ら死を選んだのだと。そして全てが終わったのだと。