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人質交換を託された女
第16章 侵入者
捜査員の顔との間に、黒いバッグが置かれ、視界を遮ってくる。そこからは幾つもの赤い縄束が出されていた。

また縄なの…という想いが重い瞼を閉じさせる。細く開かれた視線の先に、男の足が見えた。捜査員のタイトなスカートに包まれたお尻に、男の体が圧し掛かっていた。彼女は意識を失ったまま、両手を後ろに回されていた。

彼女の寝息のような息遣いが、すぐ近くから聞こえ、誘われるように私の意識が途絶え、途絶えとなってくる。彼女の白いシャツに包まれた二の腕に赤い縄が這い、真っ白な背中には赤い線が幾つも横切っていて、両腕をしっかりと結わえ付けているようだった。
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