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人質交換を託された女
第16章 侵入者
諸手を上げて、手首を頭の後ろで固定されたおかげで、彼女の腋(わき)の下が容赦なく晒されてしまった。赤い縄が細身の衣装に拘束感という密着性を持たせていた。捜査員の彼女と同じように、胸元から等間隔で、縄がカウンセラーの肉体を横切っていた。ベージュ色の生地に隠されていた野心的な、情熱的な感情を表すような赤だった。それは彼女が見せたくない、女としての横顔を余すことなく、綺麗な曲線で露にしていく。胸の控えめな膨らみが上下の縄で挟まれ、細い腰が絞られ、左右の脚が太ももで、足首までしっかりと縛られていた。

カウンセラーの彼女は口元から漏れる滴りを気にし、頭をソファの背もたれに預けていた。はっきりではないが、彼女の脚の女性らしい、太股から膝元の丸みを帯びた曲線が浮かび上がってくる。裾のスリットから素肌がチラリと覗き始め、彼女は体をくねらせて、その裂け目を明らかに気にしていた。

彼女たちが見えない事実があった。それは目隠しをされていない私だけが知ることだった。目隠しに使われている、紫色のスカーフだった。あの事件の後、銀行員のスカーフを持っているのは、ごく限られた人だけだった。きっと、あの人に違いないという想いが頭から離れなかった。
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