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人質交換を託された女
第6章 A Lucky Winner
「警察官でも願掛けをするんだな…」

男はそう言いながら、右手のピンキーリングを奪っていく。そして男は何の疑いを持たず、リングを左手の小指にはめていく。

私はどうして…という気持ちで息が止まった。

「幸せは右の小指から入って…左の小指から逃げる…という言い伝えがあるらしいしな…」

左手の小指にしっかりとリングが収まっていく。そして男は左手の指を包み、拳を作っていく。

「残念だが…君を逃す訳にはいかないんだ…」

男の言葉を聞いて、全身に鳥肌が立ち、体の力が入らなくなる。体がフッと横に流れていた。気が付けば、男の腕に支えられ、胸に上体を寄せていた。

「さあ…1人…選ぶんだ…」
私の右手は布袋の中に入っていた。指先に幾つものプレートが触れていく。

私がそれをすることで、選ばれてしまった行員には、どんな事が起きるのか、容易に想像がつく。
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