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私立桐邦音楽大学附属中学校
第18章 小山田梨果と銭湯
「着いた!ここだよ美月、趣あるでしょ?」

弘斗の自宅最寄り駅から徒歩数分の古い銭湯。

「へぇ、昭和の雰囲気ムンムンだね。」

「でしょでしょ?」

「お兄ちゃーん!小山田さーん!」

「まひろちゃん!」

待ち合わせ時間に弘斗の妹、室賀まひろが登場した。

「美月、この子室賀くんの妹さんのまひろちゃん。」

「室賀まひろ、小5ですっ!」

「た、高遠美月です。梨果とお兄さんのクラスメイトです……」

小学生相手でも人見知りする高遠美月。声が小さい。

「こう見るとむしろまひろと高遠がクラスメイトに見えるけど。」

「たしかにー!あはは!」

「うーっ!うーっ!」

弘斗と小山田の一言に高遠が遺憾の唸り声をあげていた。

確かにまひろと高遠美月は背丈が同じくらいで。同級生のようだった。


「早速入ろうよ!」

木製の引き戸を開くと真ん中に番台があり、その左側が男湯、右側が女湯に別れていた。

「いらっしゃい!」

「あ、あれ?お前は村上?!」

「おお!室賀か久しぶり!」

番台を勤めていたのは弘斗の小学生時代の同級生、村上清晴(むらかみきよはる)だった。この銭湯は彼の祖父母の家業だ。

「村上、お前も番台に立つのか。」

「近頃じいちゃんばあちゃんも夕方になると疲れるらしくて放課後は番台を手伝っているんだよ。」

「ふーん偉いな。」

「で、お連れさんはー……げげっ!!若い女…だと?!」

天然記念物でも見たように大袈裟に驚く村上。

「どうした村上?!」

「こ、この銭湯には年寄りしか来ないはずなのだが!」

「え?お年寄り専用なのか?」

「いや、そういう訳じゃないが推定60歳未満は見たことないぞ?!なのにこの子たちは?」

「俺のツレだけど。」

「ええっ!!室賀のツレ?!この美少女三人組が?!」

「おいおい忘れたのかよ、いちばん小さいのは妹のまひろだよ?」

「ま、まひろちゃん?!お、大きくなったね……」

「お前なんでソワソワしてんだよ。」

「い、いや……」

チラリと小山田梨果を見る村上。

「ん?」

ちょいちょいと手招きするので近付くと耳打ちしてきた。
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