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私立桐邦音楽大学附属中学校
第30章 阻まれる告白
「はいよ。これでOK。」

「ありがとうございます。」

薬局で傷口を消毒し絆創膏を貼ってもらった。

「室賀は大袈裟なんだよー」

角山が笑う。

「だって血が出てたんだぞ!なあ高遠。」

「血が怖かったら女は勤まらないよ。」

「え?高遠……お前初潮済んでるの?」

ポカポカポカポカ!

「痛い痛い!」

高遠に殴られた。


「ああ……俺の店にこんなたくさんの桐邦美少女が……」

「ふふふ、ありがとね富山さん。」

「いえいえ梨果ちゃんグヘヘ……」

「富山さん?!グヘヘ?!」

小山田の放ったその名前には聞き覚えがあった。

「どうしたの?室賀くん。富山さんには前回会ってるよね。」

「えっ?あー!変質者の!」

「そーそー変質者のお爺さんでーす……っておい!」

「確か特別クロッキー会にもその名前が……」

「えっ!」

一瞬にして顔が凍り付く富山。そう我が校の制服を卑猥にはだけさせた構図を小山田に指示した本人がここにいた。

(こ、コイツ……)

「……あのね室賀くん。真田さんとそちらの富山さんには謝罪されたの。だから室賀くんも許してあげて。」

彼を睨み付ける弘斗に気付いた小山田がそう擁護する。

「……梨果ちゃんあの話、彼にもしたのかい?」

「うん。自転車屋さんから聞いちゃったみたい。だから今日全て話した。」

「そっか川瀬さんが……」

怒りに堪える弘斗を見る富山。

「聞いてしまったならお友達にも改めて謝らないとな。」

「えっ?」

富山は立ち上がり弘斗らに向かい合った。そして彼は深々と頭を下げた。

「謝って済むとは思わないが君たちのお友達にひどいことをして申し訳なかった。」

「……」

カラカラカラ

同時に店の入口のサッシが開いた。

「お、梨果ちゃんたちここにいたか。」

「真田さん……」

店に真田がやってきた。

「君ら探したぞ。……ん?富山さんどうした?真剣な顔して。」

「真田さんもこの子たちに一緒に謝ろう。」

富山さんが真田さんに理由を話した。

「……そうだな。君たちの親友をひどい目に遭わせた。あの日は大人として人間として最低だったと反省してる。済まなかった。」

中学生たちに深々と頭を下げる中高年男性2人だった。
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