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私立桐邦音楽大学附属中学校
第5章 広告モデル
教室に着くと直江鍵次が1人楽譜をチェックしていた。

「直江、まだいたのか。」

「お前ら掃除の時間からどこ行ってたんだよ?」

「聞けよ直江!角山のパ…」
「おい内藤!!」

弘斗は急いで内藤の発言を止めた。直江に角山奏音のパンツを拝んだなんて知られたらマズすぎる!

「角山のパ??」

首を傾げる直江。

「あ、ああ…角山オススメのパンが旨いって話だよ。あははは…」

「室賀お前パン好きだなー」

「あはははは!」

(本当はごはん派なんだけどね)

「ところで直江も俺らと吉祥寺行かね?」

「ああ、いいけど。」



男子3人で駅へと歩く。

「帰り角山がやけに機嫌が悪かったんだよ。」

「な、何か言ってたか?」

「いや、俺なら角山の機嫌なんて見てればわかるのよ。」

「さすが直江。」

「あん?直江も角山が好きなのか?」

「おう、俺は角山が好きだ。」

「なるほどそういう事か…」

内藤は先ほど弘斗になぜ発言を止められたのかを理解した。

「相当なお嬢様だぞ?しかも……」

「内藤…解ってるよ。」

「ん…ならいいけどよ。」

角山の祖父は角山グループという大企業の総帥だ。ここの子女は代々政略結婚をさせられるとの噂だった。

(直江…お前はどんな障害があれど正直に自分の気持ちが言えて羨ましいよ。それに比べて俺は……)

弘斗は小山田梨果の姿を思い浮かべながらそう思った。
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