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私立桐邦音楽大学附属中学校
第5章 広告モデル
長々と靴紐を結び直す小山田梨果。性器のスリットと思われる窪みに食い込む布地を確認できるほどの時間を視る者に与える。これ幸いと階段途中で立ち止まってまで凝視する男たちもいた。
だがその光景に弘斗までも見とれている訳にはいかなかった。

「お、小山田!!」

駆け上がりながら声を張り上げる。

「!?……あ、室賀くん?」

大声をかけられ慌てるように上体を起こす小山田。
視ていた男たちも何事も無かったように日常に戻る。


「む、室賀くん…なんで…?今の電車にはウチのクラスの子はいないはずなのに……」

「え、えっと……寝過ごして戻った。」

「室賀くんち都内だよね。ということは昨日も寝過ごしたの?」

「う…うん。」

「あははは……」

(他校のあの男子に向ける笑顔とは違う笑顔……)

「室賀くん……もしかして……見ちゃった…?」

「えっ?!」

顔をまっ赤に染めてしまう弘斗。

「そか……昨日も?」

コクリと頷く弘斗。

「あーあ……」

「お、小山田…お前まさかわざと……」

「うふふ…」

彼女は無言で鼻先に人指し指を立ててウインクした。

(ドキッ……)
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