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私立桐邦音楽大学附属中学校
第6章 肘に伝わる感触
昇降口を出ると学内ホール前の樹木の下に小山田梨果がいた。

(小山田……?)

胸がキュンと締め付けられる。

なにやら男子生徒に向き合い頭を下げて謝っている様子だった。その後男子生徒は残念そうに小山田の元を離れて行った。
小山田はその男子生徒を見送ると弘斗のいる方向に歩いてきた。


「あ、室賀くん。」

「お、小山田…どうかしたの?」

「んー…」

「こ…告白されたとか?」

「…うん。」

「そか…」

「……」

「……」

「室賀くん今帰り?」

「あ、う、うん。」

「駅まで一緒に帰ろ?」

「え、えっ?!」

「ダメ?」

「い、いや!いいよ!」

(か、か、か、可愛い!!)

真っ赤になった顔を見られるのが嫌で逸らしながら答えた。

(くっそ!大事なときに赤面しちまう!)

赤面するなするなするなと思うほど赤面してしまう弘斗。小山田とまともに顔を合わせられない。

(たくさんの聞きたい事を聞くチャンスなのに!)

「こ、断ったの?」

緊張してるだけに唐突な質問を投げかけてしまう弘斗。

「ん?なにを?」

「い、いや告白…?」

「うん。」

「ど、どうして?」

勇気を振り絞って聞く。

「だってみんな全然話したこともない人たちだったし……」

「…みんな?人たち??」

「今日だけで3人に告白された。今まで全くなかったのにびっくり。」

「ええ……」

もしやと思い弘斗が辺りを見回すとコソコソと2人の様子が見張られている気配を感じた。

「…室賀くん。」

「え?!」

なんと突然小山田梨果が弘斗に腕を組んできた。肘に小さな乳房の感触が触れる。

(ええええええええーーーーーー!!)

「ごめんなさい、このまま帰ろ。訳はあとで話すから。」

小声で囁き弘斗の腕を抱いた小山田は足早に校門を出た。
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