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私立桐邦音楽大学附属中学校
第6章 肘に伝わる感触
「急にごめんなさい、ここまで来れば大丈夫そう。」

学校から200mほど離れると小山田は弘斗の腕から離れた。

「あ、ああ……」

(ずっと腕を組んで欲しかった……おっぱい柔らかかったー!)

「ずっと見られてるの。後を付けられたら怖いから室賀くんに頼っちゃった、ゴメンね。あのお仕事をいただいただけでこんな事になるなんて……」

「塾のポスターのこと?」

「うん。室賀くんも見てくれた?」

「あ、うん。」

(メチャクチャ可愛かった!)

「どうだった?」

「え、えっ?!」

(チ、チャンス!しょ正直に答えるんだ!俺!)

「か、か……」

(え?口がうまく動かない?!)

「ん??か?」

(動け!俺の口!)

「か…か…か…」

「か??あ、そっか。室賀くんも奏音が好みなんだっけ。」

「えっ!…あ、いや…」

(違う!そうじゃなくて!!)

「奏音には敵わないよねー」

「そ!そんなことないよ!」

(やっと口が動いた!けど顔が熱い!恥ずかしいぃぃ!)

「うふふ…お世辞でも嬉しい!」

(笑顔がまた良きーーー!!)


「ありがとう。今日は助かった。」

「ま、また…困った事があったら力になるから。」

「……ううん、迷惑かけちゃうから。」

「……」


駅に着き改札を通ってホームに降りる。

「い、家まで送らなくて大丈夫?」

(もっともっと一緒にいたい、話がしたい……)

「うん。地元の駅に着いたらおじさんが迎えに来てくれてると思うから。」

「そ、そか。」

(角山が言っていた親戚の家の叔父さんかな?)

『間もなく電車が参ります。黄色い線の内側まで……』

永遠に続いてほしかったひととき、下り列車がホームに滑り込み小山田はそれに乗り込んだ。

「じゃあね室賀くん、今日はありがとう。」

『ドアが閉まりますご注意ください。』

閉まったドアの窓越しで小さく手を振る小山田梨果。弘斗は手を振り返した。

(なんて可愛いんだろう……)

弘斗は小山田梨果が乗る列車を見えなくなるまで見送った。

(肘に小山田のおっぱいの感触が……)
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