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私立桐邦音楽大学附属中学校
第7章 小山田の下着
いつも通り空いた下り列車で通学する。また降りるべき駅を乗り過ごして小山田と例の他校の男との様子を窺いたい思いはあったが、自分までストーカー紛いになることを懸念してやめることにした。

(角山が言ってた“彼氏ではない”という言葉を信じることにしよう……)

通学駅のホームに出る。

「ううっ…さむっ!」

都心に住む弘斗は2~3℃低い郊外の気温に震えた。

「室賀……」

「ん?」

声に振り向くと角山奏音がいた。同じ列車に乗っていたようだ。

「角山……」

昨日の一件があり少し気まずい雰囲気になる。しかし角山は無理やりトーンを上げたような口調で話し出した。

「今日の放課後梨果に男の子を紹介してもらうんだー!」

「はぁ?!」

「いいでしょー。」

「や、やめとけよ…」

「そんなの室賀が言う“あれ”じゃないんでしょ?」

「お、俺は構わないが…俺の知り合いが嫌がるからさ…」

直江鍵次の顔が思い浮かぶ。

「……室賀は構わないんでしょ?」

「なんなんだよ……」

「前はもっと私を気にしてくれてたのに……」

「あ?なんか言ったか?」

「あっ!室賀といると遅刻しちゃう!先いくね、じゃーねー!」

角山は駈けて行ってしまった。

(小山田が角山に男を紹介……?)

あの小山田が紹介するほど男との交友関係があるとは信じたくなかった。
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