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私立桐邦音楽大学附属中学校
第1章 はじまりのお話
「ん?どうした小山田。」

「室賀くんの演奏、私は良かったと思う。私は好きかな。」

「え?!」

「あっ!ごめん、私エラそうなこと言って……」

小山田は黒髪を耳に掛ける仕草をする。照れたときの癖なのだろう。

「……いや、ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ。」

「ふふ……。そして直江くん。」

次に直江に向き直る小山田。

「ん?なに?」

「ミスタッチ多いよ。ちゃんと練習しないとねっ!」

そう言い直江にウインクする。

「なっ…!」

図星をつかれて閉口する直江だった。

「梨果ー!早くいくよー!」

遠くで小山田を呼ぶ角山たち。

「いまいくー!」

小山田梨果は角山たちのもとへ駈けて行ってしまった。

「あれ誰だっけ?」

「ピアノの小山田梨果、俺たちと同じクラスにいたろ?」

「へぇー……可愛くね?」

「……そうだな。」
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