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私立桐邦音楽大学附属中学校
第2章 朝のご褒美
「……そこどいて」

「ん?なにか声が聞こえたような……」

「そこどいて……」

もう一度声がしたのでその源をたどって見下ろすと高遠美月がいた。

「わっ!驚いた、いたのかよ……」

あまりに身長が違いすぎて気づかなかった。弘斗が彼女の下駄箱の前に立っていて邪魔だったようだ。幼いながらも精いっぱいの遺憾な顔をして弘斗の真下に立っていた。

「あ…ごめん。」

場を譲り、思わず高遠の体操着姿も眺めてしまった。

(む、胸がない……?)

「え?なに…?」

視線に気づいた高遠。

「い…いや…」

「……」

「美月―!はやくー」

「あーい。」

角山に呼ばれ高遠も校庭に駆けて行った。
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