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私立桐邦音楽大学附属中学校
第14章 3学年スタート
新たに割り振られた下足ロッカーで上履きに履き替えて新たに割り振られた教室に内藤と共に向かう。


「お前だけじゃねーよ。」

歩きながら内藤がそう口を開く。

「え?」

「掲示板の前でしばらく人間観察をしていたんだが、かなりの男たちが小山田の名前を探していたよ。」

「角山奏音よりもか?」

「ああ、角山よりもだ。」

「……」

明らかな美人の角山奏音はもとより学園一の人気者だ。しかし知る人ぞ知る隠れた美少女だった小山田梨果もメディアへの露出で注目が集まってしまったようだ。

「俺たちはラッキーだ!」

「何がラッキーなのよ?」

「?!」

階段の途中で突然背後から声がかかる。

「か、角山……」

振り向くと角山奏音がいた。
中学三年ながら160cmを裕に超える手足がスラリと伸びた長身。しっかりブレザーを盛り上げている豊かな乳房。スカートのプリーツをぷっくり広げる臀部。女の色香をこの歳にして身に纏っていた。

「あーあ、また室賀と同じクラスかー。腐れ縁ってやつだね。」

そんな角山に弘斗はボンボンと肩を叩かれた。

「お、おい。やめろよ……」

角山奏音。彼女は学園一の美人として男子生徒に人気だが、本人にその認識がまるでない。こうして男子生徒とじゃれ合う姿は嫉妬の的となって面倒なのだ。

(ふぅ…角山とは三年間同じクラスか。本当に腐れ縁かもな。)

3人でこれから一年間過ごす教室に入ると直江が席に着いていた。

「おはよう直江。お前も同じクラスか。」

「おはよう室賀。またよろしくな。」

「角山も同じクラスだぞ。」

親指で真後ろにいる角山を指差す。

直江鍵次。彼も角山奏音に惚れ込んでいる一人だ。

「ああ、もちろん知ってるよ。」

「だろうな。」

「えっ!直江津くん知ってくれてたの?うれしー」

「かっ、角山さんっ!よ、よろしく。」

「うん!こちらこそよろしくね!」

「はははははは……」

カチカチに緊張している直江。

(角山に彼氏ができたなんて直江には絶対言えねー……)

「あっ、美月ー!おはよー」

角山は登校した高遠美月の方へ駆けていった。
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