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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第23章 引き止める者
──…
「シアン…どこ行くんだ?」
「──…?」
不安そうな声がシアンの背後から呼びかける。
一瞬の警戒──
それをはさんで、シアンが立ち止まる。
振り返るとそこにオメルが立っていた。
声の正体を知ったシアンは表情を柔らかく繕(つくろ)い、穏やかに微笑んだ。
「…おはようオメル。そんな顔してどうしたの?」
「……」
「やっと嵐が弱まったようだから、外の様子を見てくるだけさ」
「バヤジットさまが、シアンは外出禁止だって」
「──…」
「寝室に鍵かけて閉じこめてるって言ってた。
なあ……シアン。……どこに行くんだ?」
バヤジット不在の刻、邸宅の廊下を出歩くシアンを呼び止め、恐る恐る…オメルは尋ねていた。