この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第31章 鳴り止まない声
──
再び夜が訪れる。
その頃──王都ジゼルの最南端、神殿跡地の地下にはバヤジットがいた。
「はぁっ……はぁっ……」
シアンの毒針のせいで身体はまだ痺れている。それでも、いても立ってもいられずここに来たのだ。
“ なんとしても俺がっ…シアンより先に侍従長の尻尾を掴まなければ ”
バヤジットの頭は、今もシアンのことでいっぱいだった。
復讐を止めることはできなかった。だったら自分が侍従長の悪事を暴き、シアンが手を汚す前に捕らえてみせる。
“ 復讐の矛先は……まず俺かもしれんがな…… ”
『 クオーレ地区には建国当時に造られた地下通路が今も残っているそうです 』
シアンの言葉を信じるならば、この地下道は王宮まで伸びている筈…。
何日もかけて少しずつ地下の迷路を攻略してきたバヤジットは、今日こそは何か証拠を掴まなければと、小さな灯りを手に暗い地下道を進んでいた。
....
「……?なんだ?」
しばらく進んだ分かれ道の前で、異変を察知したバヤジットが足を止める。