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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第33章 復讐者の記録──肆
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『 何処まで行くのですか 』
客や引き子で賑わう夜の娼館通り。その裏路地をいくらか歩き、喧騒を離れた街の外れに着いた頃…後をつけていた青年が、前をゆく男を引き止めた。
ぴたりと、ふたりぶんの足が止まる。
『 男娼の身で逃げようものなら…たとえ貴方といえど、裏切り者として追手に殺されますよ 』
『 …… 』
呼び止められた男は、街人にふんする為の帽子を脱ぎさった。
いつも細い鞭のように揺れていた白い長髪は…今はなく、首の下で短く切られていた。
『 ……どうしたシアン、怖い夢でも見たのか? 』
『 …… 』
『 添い寝でもしてやりたいが…悪いな、今の俺は忙しいんだよ。また明日にでも可愛がってやる 』
『 ……明日? 』
ゆらりと振り返った男と目が合うと、背後の青年は冷めた声で問い直す。
『 明日戻ってくる気があるとは思えませんね。
貴方は何処かへ消えるつもりでしょう?ヤン 』
問われた男がニヤリと笑うものだから、青年は面倒くさそうに息をついた。