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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第34章 崩壊
「侍従長様!タラン侍従長様!いらっしゃるか?」
その時、とても構っていられないこの状況で、新たな来訪者が公爵邸の戸を叩いた。
中の者達は当たり前に無視している。
けれども相手がいっこうに諦めないので、痺れを切らしたひとりが外へ出た。
「申し訳ありませんがタラン様はいま…!!」
「ああ無礼な訪問をお許し願いたい、急ぎの用なのだ!」
戸を叩いていたのは、侍従見習いの若者だ。
「侍従長様を今すぐ大神殿にお連れするようにと!これは議会からの伝令だ」
「ですから今は不可能です!それに今朝の議は終えたばかりではないですか」
「そうも言ってられぬ!」
来訪者は、戸を開けた使用人にではなく、奥のタランに聞こえるように声を張った。
「侍従長様お聞きになりましたか、緊急の召集です!たった今っ…帝国の使者が王都に現れました!
カナート破壊の首謀者を引き渡すよう申し立てております!」
「帝国使者だと……!?」
タランと、その場の近衛兵達が互いに顔を見合わせる。
いったい何が起ころうとしている?
地下での混乱、不可解な爆発、帝国の使者──。次々と襲い来る予想し得ない展開にタランですら頭が追い付かず、言われるまま突然の召集に応じるしかなかった。
──