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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第4章 掌握する者
ほどかれた下着を右手に掴み、ただの布切れ同然となった衣服は捨て置いた。
机から降りたシアンは厨房がある石のカウンターを見渡し、水を探す。
喉が乾いているのもある。
だがそれよりも、喉奥に溜まる不快感を流し込みたい。
水瓶が見当たらないので、台に置かれたアンフォラ(酒器)を引き寄せて中身を一気に飲み干した。
「……ハァー」
空になったアンフォラは、厨房に戻した。
「…………誰かいるの?」
「えっ」
不意にシアンが独り言のように呟く。
それは独り言ではなかったようで、扉の向こうで様子を伺っていた何者かが怯えて反応した。
「誰かは知りませんが、入りたければどうぞ」
「…っ…えっと、その…!!」
シアンが促すとやっと決心がついたらしく、その者は扉を開けて顔だけ中へ入れてきた。
そして裸のままのシアンを見て、急いで床に視線をそらす。
「ごめんっ…別に見るつもりは…」
「構いません。…君は?」
「お、オレは、オメル」
扉から出てきたのはまだ幼さの残る少年だった。
いちおう隊服を着ているので、近衛兵らしい。
「…たぶんオレは、キミと同じだと思うよ」
その少年は、出会ったばかりのシアンに対して、どういうわけかそのような言葉を選んだ。