この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第40章 壁越しの約束


「──…僕に剣術を教えて下さい」


「剣術を……?」


「この手で陛下をお護りできるように、僕は強くなりたい。だから貴方に稽古をつけてほしいのです。バヤジット・バシュ」


「そんなことか?俺でいいなら、か、構わんが…」


「約束ですよ」


 シアンは止めていた手を動かして、身体を拭くのを再開した。


「…いつにする?」

「まだわかりませんね。僕はしばらく部屋から出られませんし」

「俺は今のところ王都にとどまる予定だから、いつでも大丈夫だ」

「ありがとうございます」

チャプン

 手ぬぐいが冷めてしまったので、もう一度湯にひたす。

 肌も冷えてしまうからあまり長居はできない。

 …それでもシアンは、すぐに動く気になれなかった。


「楽しみにしています、バシュ(将官)」

「……ああ、そうだな、俺もだ」


 シアンの声が穏やかだから、バヤジットもつられて顔を朗らかせた。

 許されたわけじゃない

 あの日に戻れるわけでもない

 それでも今の二人に流れる空気は、帰ることのない日々の煌めきを懐かしむ。



『 僕は近衛兵となり、誰よりもそばで兄さまを支え……誰よりもそばでお守りするのだ 』



 あの日の幼き王弟の夢は

 明るい未来を信じていた純粋な言葉は

 今なお、生きているのでは


“ そんなことっ…俺の願望でしかないんだがな… ”


 儚い願望とわかっていても、すがらずにはいられない優しい空気が、バヤジットの目頭を熱くさせた。













───…





/401ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ