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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第42章 空虚なる交錯

 ほどかれた上衣を剥ぎ取り裸体を晒されようと抵抗しない。汗で濡れた白い肌は、撫でられるたびにビクビクと敏感にうち震える。

 そんな肌を這う掌の感触は火のように熱い…。アシュラフも酒のせいで身体が火照っているのかもしれなかった。

「…ぁ‥…ああ‥」

 細く引き締まった腰を撫でられると、悩ましくくねらせて切ない声を出す。

「……っ」

 アシュラフは片手でシアンの顎ごと首を掴み

 押さえ付け、口付けのあわいで問い詰めた。


「呼ばないのかっ……!! ───俺を」
 
「はぁ‥‥はぁ‥‥」


 低く吐き出した男の声は
 苦しそうに息切れている。

 
 うっとりと濡れた目で見つめ返すシアンは、そんな相手に見蕩れるだけだった。


 自分を責め立て首を絞めてくる手の力が……自分だけに注がれる抗議の視線が……心地良い。


 だからシアンは嬉々として微笑んだ。


「…っ…お前」

「陛‥‥下‥‥!」


 相手の想いも、自身の目的も忘れて投げやりに笑う。だから早く次の口付けが欲しかった。


 見下ろすアシュラフは思わず指の力を強めて、本当に絞め殺してしまいそうになる。

 そんな溢れる激情をぎりぎりのところで抑えた男は、シアンの挑発にのらず、首を絞めていた手をそっと…鎖骨へと滑らせ、胸の中心を辿って下腹部へと動かした。

 その手が脚衣(シャルワル)の内側からシアンの男根を引き出す。

「アッ…!!」

 五指が別々の動きをして芯を揺さぶり、敏感な先端をいたずらに掠った。

 触れられたそこへ向かって血が渦巻いて、たまらずシアンが手を伸ばすと、被さるアシュラフの衣服が乱れて腹部がのぞく。

 丁度良いとばかりにアシュラフは、自身の屹立も下衣から解放した。猛るそれがシアンのものと重なると…互いの体温と生々しい感触が伝わり合う。


 それはあまりに淫らな感覚だった。


 二人は目頭を熱くしながらその光景をじっと見ていた。


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