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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第45章 Epilogue──春待つ砂丘の花々よ
砂嵐が襲う苛酷な地に、数百年と建ち続ける国──キサラジャ王国。
砂漠の貴重な給水地であり、多くの人や商品だけでなく、技術や情報が集まるこの国は、街道をわたる隊商(キャラバン)や旅人で賑わっていた。
とくに春の訪れとともに始まる《 白砂祭(シュケル・バイラム) 》の季節は、珍しい光景をひと目見ようと、見物客で溢れるようになった。
暗く、寒く、長い冬を終えた人々が…
愛する家族や、恋人、友人、故人へ、白い花束を送りあうのだ。
首都ジエルだけでなく、他の街も村もいっせいに華やぐこの季節を…人々は踊りや料理で盛り上げる。
そんな 白砂祭(シュケル・バイラム) の起源は、ほんの十五年前。
農地の開拓と合わせてこの政策を進めたのは、若く美しく気高い、当時のスルタンであった。
名君として後の史書でも語り継がれる王の隣には、いつも、国一番の武人が控えていた。
誰よりも献身的に王を支え、王の治世を最も近くで見届けたその武人は、《 砂竜の将官 》の異名で、今も国を守り続けている。
己の罪と、信念と、愛した人への誓いを胸に──。
『 謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く』
────(完)