この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第45章 Epilogue──春待つ砂丘の花々よ


「この花を国中に咲かせましょう…!

 シアンが何処にいたとしても、ひとりで孤独であったとしても、…花に囲まれていられるように」


 数え切れない傷を負い
 健気にいだいた夢のひとつさえ…

 追いかけることを許されず

 大切な友と、愛した兄を手にかけて

 …それでもシアンは、今も死ねずに生きている。

 兄を犠牲にして救った国を、そこに生きる民を守るために、玉座で孤独に戦っている。

 そんな自分をシアンは愛してやれないだろう。

 だからあの日──生き長らえた命を嘆き、生かしたバヤジットを呪い叫んだ。


 だからこそ


「シアンを愛する者がいるのだと…思い出せるように、してやりたい」


「──…」


「努努(ゆめゆめ)、忘れてはなりません…!」


 足元に跪(ひざまず)くバヤジットが、真っ直ぐシアンを見上げて語る。


「…………愛して、くれるのだろうか」


「──…必ず」


「そうか……」


 バヤジットの眼差しを受け止めたシアンは微笑んだまま、それきり言葉を呑み込んだ。

 それから、そっと、左手を彼に差し出した。

 すぐさまバヤジットが、下から自身の手を添える。

 布でくるんだ偽物の手だが、伝わる筈のない身体の熱が二人の間を交差した。

 祈るように両手で握る。

 もう傷付けられないように、包み込む。

 そしてバヤジットが手の甲に口付けを落とした。

 この時 彼の鼻をかすめたのは

 ほのかに甘い香油の匂いと、その奥の、太陽をあびて焼け付いた…鼻腔から頭までを貫く紫煙にも似た力強い香りだった──。




















/401ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ