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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第9章 蜜にたかる蛆

「ハァっハァっ、ごめん遅くなったー」

 それから数刻後、武具の保管庫に戻ってきたオメル。

 つまみ食いを見つかり散々逃げ回った彼は、走った後で息を切らしていた。

「あいつらの休憩が終わったみたいで助かった。でも今日の夜はばったり会わないように気を付けなくちゃ」

 しかし、先ほど腰を下ろしていた場所にシアンの姿がない。

「……あれ、シアン?」




・・・・・



「シアンどこだ?」


 声をかけても返事はなかった。

 保管庫の中に入って探してみるも、人の気配はしない。

 武具が押し込まれたその部屋は窓が無く、扉を閉めれば真っ暗になる。今は外が明るいためうっすらと中を見渡せるが、夜になれば何も見えない。

“ だから日が高いうちに作業を終わらせようって、シアン言ってたんだけど… ”

「うーん、便所かな」

ギィーー…

「──シアン?」

 その時、唯一の出入り口である扉が閉まる音とともに、部屋に射し込む光が失われた。


「シアン戻ったのか?」

「……」

「扉しめたらなにも見えないだろ。開けろよ」

「……」

「ぇ……!?」


“ 違う──シアンじゃない ”


「だ、誰だよあんた……!?」


 狭い室内で後ずさるオメルに、逃げ場は無く──

 中に押し入ってきた何者かに、いとも簡単に捕らえられた。







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