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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
 嘉門は時折見かけるこの店の主夫婦を思い浮かべた。言われてみれば、四十近い内儀の方は、どことはなしにお都弥に面立ちが似ているかもしれない。
 細面の美人で、愛らしいのに、どこか淋しげな容貌が似ていた。
「そう、だったのか。お都弥は辛い想いをしてきたんだな」
 それは、嘉門の口からひとりでに洩れた言葉だった。
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