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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
お都弥はふんわりとした笑みを浮かべた。
「そんなことはありません。伯母さんも伯父さんも、私を娘のように可愛がってくれます。嘉門さま、私の父は少しですが、借金を残していたのです。親戚のお店(たな)の方たちがすべて返済して下さいましたから、今、私はこうしてここにいられるのです。もしかしたら、私はここではなくて、吉原か、岡場所のような遊廓に身を沈めなくてはならなかったかもしれない。それを思えば、私は本当に果報者だと思います。