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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第2章 壱
もっとも、父親同士はそれで良かったのだろうが―、当の子どもたちにとっては、それが不幸な結婚の始まりになったのだから、結果的には良かったのかどうか。
父は新婚早々から側室を持ち、その女は一男一女をあげている。異父弟は嘉門よりふた月遅れの同い年であった。が、幸か不幸か、その弟は乳呑み児の時分に夭折し、側室も弟の後を追うように儚く亡くなった。
腹違いの弟とその生母が亡くなった時、屋敷内では悪しき噂がまことしやかに流れた。