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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
 そのお都弥の余裕のある表情で、嘉門の不安も消えた。
 何を馬鹿な、お都弥が俺を残してどこかに行ったりするものか。
 何より、誰より優しい女だ。
 人を裏切ることなど、思いもしないだろう。
 嘉門はお都弥に何でもないというように笑って首を振り、夕陽に照らされた道をゆっくりと歩いていった。
 その時、お都弥が嘉門の広い背中を永遠に心に刻み込むかのようにじいっと眺めているのに気付きもしないで―。
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