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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
     【弐】

 お都弥と初めて話をした十日後、嘉門は再び花やの前を通った。その日は道場に赴く途中を立ち寄った。和泉橋町を抜けて和泉橋を渡り、町人町に入る。通い慣れたいつもの道が何倍も長く果てしないものに思えた。
 お都弥は、やはり、嘉門に傘と手ぬぐいを貸してくれた女だった。あの涼やかな声を聞いた刹那、この女だという確信が持てた。
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