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僕のとなり
第13章 エピローグ
僕と優真の関係を知っているのは、多分、中村牧師と佳代子だけだろう。
教会員の加藤さんは知らないと思った。
加藤さんも僕らに会うといつも声を掛けてくれる。
「薫くん、新しい友達かい?」
「ええ、加藤さん、森山くんて言います…」
「やぁ、森山くん、よろしくね、いつでも教会に来てくれていいからね…」
優真はそれを聞くと嬉しそうだった。
「はい、加藤さん、よろしくお願いします…」
優真は軽く頭を下げた。
正直、僕は偏見や差別的な目で見られるのが嫌だった。
それは、優真も同じだろう。
教会に救いを求める様に訪れても、教会員から差別的な目や、偏見的な目で見られ、それを苦にして教会を去る同性愛者が多いと聞いたことがある。
でも、少なくとも僕の通っている教会ではそんな事はないと信じたい。
ただ、単に、好きになった相手がたまたま同性だっただけなのだ。
男だと思って生まれて来たけれど、本当は心は女だったと言うことだけなのだ。
僕だって、男性にしか興味がないのだから。
この世には、異性同士で結婚しても、仲が悪く、世間体を気にして離婚もせずに唯々諾々と結婚生活を送っている夫婦も多いと聞く。
だったら、僕らの様な関係でも、いつも心穏やかにお互いを尊重し、尊敬し合える間柄が本当の安らぎで、幸せなことなのではないだろうか。