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僕のとなり
第9章 発覚
中村牧師は黙って僕を見ていた。
会議室は水を打ったように静まり返っている。

聞こえるのは教会の通りに面している道路を走っている車のエンジン音だけだった。
佳代子がその静けさを破って話し出す。

「薫、その気になる男の人って誰なの!?ちゃんと話しなさい!!」

佳代子は熱心なクリスチャンだ。
僕がゲイだと知ったらどう思うだろう。

とても、悲しむだろうことは容易に想像できた。
でも、僕は真実を話したいと思っていた。

「その、男の人はバイト先で会った人だよ、今、僕らは付き合ってる…」
「まぁ!?なんてことでしょう!!薫、あなたはなんてことをしてくれたの!!」

佳代子は今にも気が狂いそうなほどに僕に言ってくる。

「僕は、何も悪い事なんてしてないよ!!」

僕は叫ぶようにそう言った。
今や、LGBTQに関して言えば、どこの宗派も避けては通れない問題だと僕は思っている。

キリスト教会も同じだと思った。
仏教も同じだ。

ただ、仏教はLGBTQの人たちを受け容れてくれている。
仏教の話しによると、仏典にはLGBTQにまつわる明確なやり取りはないという。

だた、原始仏教から続いている根幹みたいなところから言えば「自分の身体に拘ったりしなくていいし、自分の心に拘ったりしなくていいし、好きだという状態にも悩まなくてもいい。全部それは移り変わるものなのだよ」と言っている。

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