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好きになったら止まらないっ!
第1章 私の王子様
きらびやかな都会のド真ん中、永瀬六花は陰鬱そうにため息をつき、フラフラと歩く。
「私、恋愛向いてないのかなぁ……」
今年22歳になった六花だが、まだ恋人が出来た試しがない。性格には、好きになったことがない。強いて言うなら乙女ゲームの攻略対象くらいで、リアルの男性には幻滅させられる日々。
完璧なイケメンはいないことは学んでいるので、顔は妥協している。友達に何人か紹介してもらったが、自慢話が多かったり、女性を見下したり、性格に難ありの男性が多い。性格に問題なくても、身だしなみに難ありで、なかなか良い出会いがない。
今日も職場の先輩に紹介してもらったが、こちらを品定めする嫌な男だった。
最初は相手に問題があると思っていたが、こうもいい人に出会えないと、自分の理想が高すぎるのではないかと心配になる。
「乙女ゲームやり込んでたのが仇になったかな……」
乙女ゲームで出会った推し達を思い浮かべる。皆顔も性格も完璧で、欠点さえプラスに見えるほどのクオリティだ。そんな完璧なイケメン達に慣れてたら、現実の男に幻滅するのも仕方がない。そう思うと虚しくて、ため息がこぼれる。
「お嬢さん」
凛々しい声と共に、後ろから爽やかな香りがした。振り返ると、中性的な王子様がそこにいた。ナチュラルブラウンの見るからに柔らかそうな髪に、上品なパーツが綺麗に並んだ美しい顔。
グレーのワイシャツに黒のベストが似合う美丈夫が、六花に微笑みかけている。
「お嬢さん、これ、あなたのじゃありませんか?」
男はハンカチを手渡す。それは確かに六花のものだ。
「ありがとうございます! お礼させてください! 是非!」
考えるより先に、体が動いた。ハンカチごと手を握り、上目遣いで男を見つめる。
「え、えっと、お礼をしてもらうほどのことじゃ……」
「このハンカチ、母の形見なんです! 形見を拾ってくれたあなたにお礼をしないなんて、母が呆れ返ります!」
本当は自分で買ったハンカチだし、母は元気に保育士の仕事をしている。どんな嘘をついてでも、この男性と一緒に過ごしたい。その想いが彼女にそんな嘘をつかせた。
「私、恋愛向いてないのかなぁ……」
今年22歳になった六花だが、まだ恋人が出来た試しがない。性格には、好きになったことがない。強いて言うなら乙女ゲームの攻略対象くらいで、リアルの男性には幻滅させられる日々。
完璧なイケメンはいないことは学んでいるので、顔は妥協している。友達に何人か紹介してもらったが、自慢話が多かったり、女性を見下したり、性格に難ありの男性が多い。性格に問題なくても、身だしなみに難ありで、なかなか良い出会いがない。
今日も職場の先輩に紹介してもらったが、こちらを品定めする嫌な男だった。
最初は相手に問題があると思っていたが、こうもいい人に出会えないと、自分の理想が高すぎるのではないかと心配になる。
「乙女ゲームやり込んでたのが仇になったかな……」
乙女ゲームで出会った推し達を思い浮かべる。皆顔も性格も完璧で、欠点さえプラスに見えるほどのクオリティだ。そんな完璧なイケメン達に慣れてたら、現実の男に幻滅するのも仕方がない。そう思うと虚しくて、ため息がこぼれる。
「お嬢さん」
凛々しい声と共に、後ろから爽やかな香りがした。振り返ると、中性的な王子様がそこにいた。ナチュラルブラウンの見るからに柔らかそうな髪に、上品なパーツが綺麗に並んだ美しい顔。
グレーのワイシャツに黒のベストが似合う美丈夫が、六花に微笑みかけている。
「お嬢さん、これ、あなたのじゃありませんか?」
男はハンカチを手渡す。それは確かに六花のものだ。
「ありがとうございます! お礼させてください! 是非!」
考えるより先に、体が動いた。ハンカチごと手を握り、上目遣いで男を見つめる。
「え、えっと、お礼をしてもらうほどのことじゃ……」
「このハンカチ、母の形見なんです! 形見を拾ってくれたあなたにお礼をしないなんて、母が呆れ返ります!」
本当は自分で買ったハンカチだし、母は元気に保育士の仕事をしている。どんな嘘をついてでも、この男性と一緒に過ごしたい。その想いが彼女にそんな嘘をつかせた。