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不倫白書 Ⅱ
第1章 禁断の快感…
 6

「あのぉ…」

「え?」

 そんなソワソワと浮かれながら渋谷の街を巡っていたら、突然…

「お姉さん、お茶でもどうですか?」
 
 突然、後ろから声を掛けられたのだ…

「え?」

 ナンパであったのだ…

「え?」

 わたしは驚いてしまい、思い切りキョドってしまう…

 なぜなら、ナンパなんて…

 こんな街中で声を掛けられるなんて…           

 このわたしの人生の中で初めての事であるから。

「え、わ、わたし?」

「あ、はい、そう」

 そう笑顔でわたしに声を掛けてきた、目の前にいる男は…

 推定30歳前後…

 爽やかな笑顔の、スーツ姿の、おそらくサラリーマン系…

「え、わ、わたしとお茶って?」
 わたしはキョドりながら聞き返す。

「うん、そう、素敵なお姉さんの貴女ですよ」
 彼は爽やかでにこやかな笑顔でそう言ってきた。

「え…」
 わたしはキョドるしか、いや、驚くしかなかった。

 な、ナンパなんて…

「お茶しませんか?」

 時刻は午後2時になったばかり…

「あ、え、い、いや…」

 予想外…

 想定外…

 いや、想像外…

 どう返事をしてよいか分からない。

 すると…

「もぉ、行きましょうよ」
 と、彼はわたしの腕を゙掴み、そして、たまたまなのか、それを狙ってのタイミングなのか…

 目の前にある喫茶店…

 そう、カフェでは無く…

 フランス印象派の有名な画家の名前の喫茶店へとわたしを連れて入った。


「あ…もう…」
 わたしはそんな彼の強引さにそう呟くしか無かったのだが、もうお店に入ってしまったから、とりあえずお茶でも飲もうと思う。

 それにここは静かな喫茶店であるから、危険な心配は無いから…

 だけど一つだけ不安があった…

 それは…

 ナンパのフリの、怪しいキャッチ販売の類なんじゃないのか?…と。

「怪しくは無いですから…」
 すると、そんなわたしの心の声が聞こえたみたいにそう言ってきたのである。


「あ、え、うん…」
 そんな、あまりにも絶妙なタイミングだったので、わたしはつい、笑ってしまう。

「ほら、その笑顔に惹かれて声を掛けたんですよ」
 彼は、歯の浮くような言葉を言ってきた。

「え、笑顔って?」

 今だかつて、そんな笑顔を褒められた事は無かった…




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