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君とセカンドラブ
第2章 葵との出会い

「あの…決していやらしいことをするのが目的じゃなくて…」

誠一は腕利きの営業マンだが、
こと女に関してはからっきし意気地がないので
部屋で二人っきりになっても営業時の饒舌とは裏腹に、ゴニョゴニョと聞き取りにくい言葉しか発することができない。

「あら?ここまできて茶話会でもするつもり?
イケオジなのに案外と奥手なのね
まさか…童貞?」

「よしてくれよ五十半ばのおっさんが
童貞な訳ないだろ。
こう見えても高校生の息子がいる父親なんだよ」

「まあ!じゃあ、ここでエッチな事をしたら
奥さまに怒られてしまいますね」

「妻は…
息子を出産した時に亡くなったんだ…
とんでもない難産だったんだよ…」

「ごめんなさい!
私、何も知らずに辛いことを思い出させてしまったんだわ!」

「いや、もう16年も前の事だから…
それに知らなかったんだから君に悪気はないよ」

一人で子育てだなんて…ずいぶんご苦労なさったんでしょ?

そう言って葵は親身になって瞳を潤ませた。

『なんて感受性の豊かな女性なんだろ』

誠一は一夜限りの遊びではなく
葵とこれからも付き合いたいと思い始めていた。

「葵さん…」

体が勝手に動いていた。
少しだけ距離を取ってソファに座っていた誠一だが、気づけば間合いを詰めて、しっかりと葵を腕の中に抱き締めていた。

「君こそ僕のようなおじさんにこんなことをされたら旦那さんに叱られてしまうね」

「ううん…私…バツイチだから気にしないで…」

「そうなんだ…君みたいな素敵なレディを捨てるなんてバカな男だ…
いや、もしかして君が捨てた方かな?」

「いいえ…あなたと同じパートナーに先立たれたの」

葵は誠一の腕の中で静かに亡き夫の事を話し始めた。

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