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君とセカンドラブ
第3章 葵という女
「私の過去は決して誉められたような半生ではなかったわ」
人差し指で誠一のワイシャツの上から乳首辺りを指でツンツンしながら話してごらんと言われた訳でもないのに自ら自分の過去を話し始めた。
何故だか、この男には自分の全てを知ってもらって、その上で自分を受け入れてもらいたかった。
「私ね…」
目を閉じて、葵は自分が生きてきた過去を振り返りはじめた。
葵は横須賀でこの世に生を受けた。
父親は葵の母が身ごもったのを知らずに
交通事故で亡くなった。
なので、葵は父親という存在を知らずに成長した。
ものごころが付くまでは
交通事故の慰謝料やら、遺族年金で細々と暮らしてきたが、葵が小学校に入学するのを機に母は横須賀にある米軍基地のキッチンで働く事にした。
母子家庭ということでなにかにつれて時間が必要な母にとって、当時の日本企業では母子家庭だからといって融通はしてくれない職ばかりだったが、
福利厚生に理解のある米軍基地だとなにかにつれて都合がよかったからだ。
幼い葵も、よく米軍基地に遊びに行った。
片言ではあるが英語も話せるようになり、
キッチンでのアイドル的な扱いを受け、軍人さんたちから可愛がられた。
高校を卒業すると
母と一緒に米軍キッチンで働かせてもらった。
若い軍人たちは、こぞって葵をデートに連れ出そうとしたが、結婚するのなら日本人と結婚したいと思っていた葵は、いくら彼らに告白されても首を縦に振らなかった。