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君とセカンドラブ
第1章 新しい家族
朝の気温がようやく二桁になって
もうすぐ春なのだとイヤでも実感するようになった。
梅の花の季節が終わりを告げ、
桜の蕾が膨らみかけていた。
そんな三月半ばのある日、
父の誠一が息子の遼太と今夜もまたコンビニ弁当の味気ない夕食を食べているときに
「なあ、遼太…
お前、今度の日曜日なんだが、体を空けておいてくれないか?」
「体を空けておく?」
「えっと…つまり、どこかへ遊びに行くとか用事を入れないでくれないか?」
「まあ…別にどこにも行くアテもないから別にいいけどさ」
「そうか、時間の都合をつけてくれるんだね?
青山のレストランで外食でもしようじゃないか」
外食?
父が外食に自分を誘うなんて初めてじゃないだろうか。
怪訝に思いながらも
コンビニ弁当ばかりじゃ飽きてしまうし
父の奢りだろうから、たらふく旨いものを食ってやろうと思った。
約束の当日。
自分の部屋でテレビゲームをしていると
ドアをコンコンとノックして
「遼太、そろそろ時間だから用意をしてくれないか」と父の誠一が部屋を覗き込みながらそう言った。
「用意?
ああ、そっか、今夜は外食をする約束だったよね」
遼太はジャケットを手にして部屋を出ようとした。