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君とセカンドラブ
第1章 新しい家族
「お前、まさかそんな格好で行くつもりなのか?」
「別にいいじゃん、飯を食いに行くだけだろ?」
そう言いながら遼太は部屋の片隅の姿見のミラーに自分の姿を映し出してみた。
トレーナーにデニム、そこにナイキのウィンドブレーカーを羽織るだけの姿だが、
特段、変な格好とも思えなかった。
「今夜、お前と食事に行く店な…
ドレスコードがあってノーネクタイはダメみたいなんだよ」
「え~?ネクタイ?
そんなもん持ってねえよ」
何も男二人の晩めしに、そんな高そうな店じゃなくても近所のラーメン屋でいいじゃんと
遼太はブツブツと文句を言った。
「ほら、学校の制服があるじゃないか」
「ワンタッチネクタイでもいいのかよ」
何も日曜日の外食に制服で出かけることになるとは思ってもみなかった。
遼太が父親に連れて行かれたのは
なるほどドレスコードが必要なわけだと納得させられる洒落たレストランだった。
入店時にマネージャーらしき男に
「予約していた椎名です」と告げると
受付けの男性は「椎名さまでございますね、お連れの方々はすでに着席されております」と言った。
『お連れの方々?』
自分と父の二人だけの食事ではないのだと
遼太は訳がわからずに、妙な緊張感を覚えた。