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君とセカンドラブ
第15章 喪服の女

世間では家族葬というものが増えているのだそうだ。
葵が喪主を勤めた母の葬儀も
こじんまりとした葬儀であったが、
訃報を聞き付けて遠縁の親戚まで来てくれたことに葵は感激していた。

しかも、来客があって参列を辞退するかもと言っていた遼太も、客人が帰ったということで駆けつけてくれたことに葵も明日香も大層に喜んでくれた。

とりわけ葵の家系の遠縁の親戚が来ていたので
葵の再婚相手として連れ子の遼太も顔を出してくれたことで、面目が立ったと誠一もホッと胸を撫で下ろした。

お骨拾いまで時間があったので
火葬場の中庭でしょげかえっている葵と明日香を慰めようと二人が座っているベンチに遼太が近づこうとするのを父の誠一がストップをかけた。

「今はそっとしておいてやろうじゃないか」

父に咎められて遼太もそれもそうだなと葵と明日香に近づくのをやめた。
そう、ベンチでしょげかえる二人からは
とんでもなくどんよりとした負のオーラがバンバン溢れていたからだ。

今はどんな慰めの言葉も二人の耳には入らないだろう。
こればかりは時間が解決するのを待つしかなかった。

父の誠一は葵の遠縁の親戚の方々にとても気に入られたのか「まあ、こっちに来て飲みましょうや」と次から次へとビールを酌み交わさなければならなかった。

当然のように未成年で飲酒の出来ない遼太の居場所がなくなる。
『とりあえず、お骨を拾い上げたらさっさと帰らせてもらおう…』
居心地も悪いので帰宅することばかりを遼太は考えていた。

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