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君とセカンドラブ
第17章 親子だけど親子じゃないよ

誠一と明日香が二人仲良く特急電車の座席に並んで座っていた。
二人は葵に亡くなった母の遺品整理を頼み、
急いで東京に帰る途中であった。
明日香は窓側の座席に座り、誠一と話そうともせずにずっと車窓の景色を眺めている。
あまり祖母の記憶はないはずなのに
それでも、身内が亡くなったということで
きっと感傷に浸っているのだろうと誠一はそう思った。
もしくは、やはり家族になりきれていなくて
自分と話すのがイヤで壁を作っているのかもしれないと誠一は思った。
「やはり、離れた座席にすれば良かったかな?」
沈黙がいたたまれなくて
当たり障りのない言葉を明日香に投げ掛けてみた。
「ううん。別にそんなことない」
「そうか?…東京に戻ったら飯でも一緒に食べないか?お腹が空いただろ?」
「いらない」
祖母の葬儀で慌ただしく過ごしたから
ついついキャンプで豊島に中だしをされたことを忘れていたけれど、こうして落ち着くと妊娠させられたかもしれないという不安が込み上げてきた。
病院に行った方がいいのだろうか?
でも、一人で行くのは心細い…
本当は何もかも母に打ち明けて
病院についてきて欲しかったけど
傷心の母に傷口に塩を塗るような煩わしい事を打ち明ける勇気もなかった。
「なんだか空模様が怪しくなってきたな
こりゃ、一雨降るかな?」
いつもの冷静な誠一ならば
東京に戻った時に傘を購入しなければなと考えつくのだが、明日香の不貞腐れた様子が気になって
いつもの冷静さを失っていた。

